指輪と一緒に、この店の名前も手渡されていました。
ご結婚が決まったおふたりの手元には、ご主人さまのお母さまから譲り受けたダイヤモンドの指輪がありました。
そして、440showroomを教えてくださったのも、そのお母さまだったそうです。
この指輪を、ふたりの婚約指輪に。
それが、ご相談の始まりでした。

お持ちいただいたのは、プラチナの立て爪のリング。
約0.7カラットのダイヤモンドを、爪が高く持ち上げています。
ただ、高さのある立て爪は、毎日つけるには少し気をつかう。
ダイヤモンドは、このまま受け継ぐ。
変えるのは、それを支えるかたちだけ。
では、どんなかたちがいいのか。
まずは440showroomの結婚指輪のデザインを、いくつか実際に指にのせていただきました。
せっかくのダイヤモンドだから、主役にしたい。
おふたりの気持ちはそこで一致して、中央の一粒を際立たせるデザインに、方向が決まっていきました。
0.7カラットは、指の上でしっかりと存在感のある大きさです。
細いアームを合わせると、石だけが浮いて見える。
太くすれば、今度は指輪全体が重たくなる。
婚約指輪だから、華やかさはほしい。
でも、主役はあくまでダイヤモンド。
そして、毎日つけていられるものに。
選ばれたのは、まっすぐなストレートのハーフエタニティでした。
並べるダイヤモンドは、一粒ずつがしっかりと立ち上がるように。
細いラインの中にも、きちんと輝きが見えるように。
デザインがある程度かたまったころ、奥さまからひとつ、ご質問をいただきました。
ダイヤモンドの爪は、こういう形にできますか
それが、割り爪でした。
一本の爪の先を二つに分けて、ダイヤモンドを留める方法です。
爪の一つひとつが細くなるぶん、石の見える面が広がり、正面から見たときの表情にも繊細さが加わります。
シンプルだけれど、どこにでもある一本ではない。
おふたりのこだわりが、ここに詰まっています。

高く持ち上げられていたダイヤモンドは、指に寄り添う高さへ。
両脇から続く小さな光が、中石へと視線を運んでいきます。

そして、リングの内側には刻印を。
外からは見えない場所に、おふたりだけのしるしを。
この指輪が、お母さまから受け継いだ大切なものであることを、これからもずっと感じていけるように。
お母さまから、おふたりへ。一本の指輪が、家族の中で手渡されていく。
そのあいだに、作り直すというひと手間が入る。
その役目を、440showroomに任せていただけたこと。
受け継がれていく大切な物語を、次へつなぐお手伝いができたことに、心から感謝しています。
いつか、この指輪がまた誰かの手に渡る日が来たら。
そのときも、今日のおふたりの時間が、ダイヤモンドの中にちゃんと残っていますように。
ダイヤモンドリング リフォーム(婚約指輪)
アイテム:リング
素材:プラチナ950(Pt950)
宝石:ダイヤモンド0.734ct(お持ち込み)、ダイヤモンド
制作期間:2ヶ月
デザイン:大森香菜江
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