石はそのままに、指輪の印象を軽やかにする。
今回のアメシストのリングリフォームで、私が考えたことです。
お持ちいただいたのは、お母様から譲り受けたリング。
大切だけれど、今の自分には少し大きく、かしこまって感じられる。どう変えたらよいかわからず、デザインもアイテムも決めずにご相談くださいました。
縦向きのオーバルカットに、プラチナと両脇のダイヤモンド。
深い紫が美しい石です。ただ、縦に伸びる輪郭と、紫と白のくっきりしたコントラストが、その存在感を強めているように感じました。

こういうときは、石の寸法だけでなく、向きや周囲の色まで見ていきます。同じ石でも、その組み合わせで手元への馴染み方が変わるからです。
このアメシストは、パビリオン(宝石の下半分にあたる部分)にしっかりと深さがあります。
アイテムを考えるうえでは、この厚みも大切な条件。身につけたときの収まりと、石の魅力を楽しめる形を考え、今回はリングをご提案しました。
まず、オーバルを横向きに。
縦に長く見えていた輪郭が、指の上を横に流れるようになり、少しおおらかな表情になります。
そこに、繊細なダイヤモンドの取り巻きを添えました。
大きく見せたくないのに、取り巻きを加えるの?と思われるかもしれません。
もちろん、石の周りを囲むぶん、外径は大きくなります。だからこそ、メレダイヤモンドの大きさと、取り巻きの幅が大切です。
今回ベースにしたのは、当店のWater Lip(ウォーターリップ)コレクション。
大粒のアメシストを小さなダイヤモンドで一周囲む、ヘイロー(Halo)デザインです。深い紫の輪郭に細かな光を添え、華やかさと軽やかさが両立するバランスに整えました。
地金にはピンクゴールドを選びました。
肌に近いあたたかな色が間に入ると、紫と手元のつながりがやわらかくなります。石そのものの色は同じでも、周囲の色によって、受ける印象は変わるのです。

そして、横顔。
深さのある石を地金で覆いすぎると、横から見たときに重たく感じられます。今回はパビリオンが見えるように空間を残し、この石のふっくらした厚みも楽しめる設計にしました。

指を包むアームには、ダイヤモンドを入れず、なめらかな地金のラインを。
輝きは石の周りに集め、その下をすっきり整えることで、普段の装いにも合わせやすいリングに仕上げています。
お渡しの際には、同じ石でもこんなに印象が変わるのですね、これなら楽しんでつけられそう、と喜んでくださいました。
お母様の指輪が蘇ったように感じる、とも。
向き、色、取り巻きの細さ、横から見える空間。
一つひとつは小さな選択ですが、重ねていくと、その方の指に馴染む一本になります。
お母様から受け継いだアメシストが、これからはお客様の日々の装いの中で輝いてくれたら嬉しいです。

アメシストリングのリフォーム
アイテム:リング
素材:K18ピンクゴールド
宝石:アメシスト7.63ct(お持ち込み)、ダイヤモンド0.14ct
デザイン:Water Lip(ウォーターリップ)
制作期間:2ヶ月
デザイナー:大森香菜江
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