こんにちは。
デザイナーの大森です。
少し前、お客様からこんなご相談をいただきました。
「大森さん、赤色のグミのようにプルンとした宝石で揺れるピアスが欲しいんです!」
そのお言葉を聞いた瞬間、私の頭に浮かんだのはカボションカットの宝石。でも、お話を聞いていくうちに、「ただのカボションじゃない…これはシュガーローフカットだ!」と気づいたのです。
そして、この条件にぴったりの宝石は「ルビー」以外にありません。でも問題は、鮮やかな赤、まるでグミのようなプルンとした色合いのルビー、さらにシュガーローフカットときたら、そう簡単には手に入らないこと。
さらにピアスなので、2つ揃ったペアの宝石が必要です。
幸い、ちょうど海外への仕入れ出張が控えていました。
「これは運命かもしれない!」
そう思いながら、世界中の宝石が集まる展示会場へ向かいました。
会場に着くと、ショーケースを1件1件見て回ります。
「…ない。」
美しい宝石はたくさんあるけれど、お客様の理想に合う「鮮やかな赤」「シュガーローフカット」「ペア」のルビーはどこにも見つかりません。
「トルマリンならあるんだけどな…」と一瞬心が揺れつつも、最後まで諦めたくない!(トルマリンの赤は少し暗く、紫色に近い赤なのでお客様の理想とは合わない。)
私は会場をもう一度端から回り直し、今度は「ショーケースの奥」にあるルースを出してもらうようお願いしました。
そして――
ついに見つけたのです!
シュガーローフカットの鮮やかなルビー、しかもペアで揃ったものを!
展示会場から実際にお客様へ送ったシュガーローフカットのルビーのルース(裸石)のお写真
嬉しさのあまり、すぐにお客様に動画と写真をお送りしました。
お客様も「これです!」と大喜び。その瞬間、すべての疲れが吹き飛びました。
東京に戻り、お客様のご希望をもとにデザインを考えます。
お客様が思い描いていたのは「エジプトの空気感」。
そこで私は、ルビーを左人差し指に乗せ、角度を変えながら眺め、一番美しく輝く形を探しました。(デザインを考える中で、この作業が一番好きかも。)
シュガーローフカットルビーのルース(裸石)
デザインのポイントはこちらです▼
- 鮮やかなシュガーローフカットのルビーを、エジプトのピラミッドの頂点にセット。
- ゴールドには、砂漠の砂土を思わせる荒削りなテクスチャーを施しました。
- さらに、ルビーとゴールドの間にはダイヤモンドを一周ぐるりと配置し、上品な輝きをプラス。
こうして、耳元で大きく揺れる、唯一無二のピアスが完成しました。
完成したシュガーローフカットのルビーピアス
納品の日、お客様はピアスを手に取るとこうおっしゃいました。
「今までジュエリーが大好きでたくさん集めてきたけれど、これが一番のお気に入りのピアスです。」
その瞬間、長い宝石探しの道のりも、デザインの試行錯誤もすべて報われた気がしました。
ジュエリーは、ただ身につけるだけでなく、人の心を癒し、愛を育む特別な存在。その想いを形にするお手伝いができたことを、心から嬉しく思います。
完成したシュガーローフカットのルビーピアス
今回のピアスのように「こんなジュエリーが欲しい!」 そんな想いがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。世界にたった一つのジュエリーを、一緒に作り上げましょう。
それでは、次回のブログでお会いしましょう。
シュガーローフカットのルビーピアスのオーダーメイド
アイテム:ピアス
素材:K18YG
宝石:ルビー2.8ct、ダイヤモンド0.22ct
制作期間:約3ヶ月
費用:税込330,000円
デザイン:大森香菜江