こんにちは。
デザイナーの大森です。
「バイカラーの色は気に入っているんだけど、思ったよりも大きく、厚みが気になるんです。」
お客様からそんなご相談をいただきました。
その指には、グリーンとブラウンが美しく溶け合うバイカラートルマリン。たっぷりとした色のグラデーションに一目惚れし、ご購入された宝石ですが、確かに厚みがしっかりとあります。
宝石は、厚みがあるほど色が深くなり、その魅力を存分に楽しめるもの。ただ、それをリングとして仕立てる際には、どのようにデザインするかが鍵になります。

オーダー前のバイカラートルマリン ルース
この厚みをどう生かすか?
厚みを目立たせず、リングのボディを石に向かって高くして、全体のバランスを整えるか。それとも、厚みを活かしつつ、すっきりと洗練されたデザインにするか。
どちらのアプローチも美しく仕上がることは確信していましたが、果たしてトルマリンの個性を最も引き出せるのはどちらなのか?
お客様に2パターンのCADデザインをご提案すると、こんなお返事をいただきました。
「どちらも素敵ですが、大森さんが“より美しく見える”と思う方にお任せします。」
私が選んだのは、「厚みを活かす」デザインでした。

オーダー後のバイカラートルマリン リング
ぽってりとしたフォルムが生み出す美しさ
バイカラーのグラデーションが最も美しく映えるよう、リングのボディはあえてシンプルな甲丸形状に。柔らかな丸みを持たせることで、石が指に自然に馴染むようにデザインしました。
さらに、宝石とリングの一体感を生み出すために、ボディの先端がトルマリンを包み込むように長く延ばし、滑らかな流れを作りました。そして、側面からの美しさにもこだわり、石を支える爪にはダイヤモンドを繊細に彫り留め。トルマリンの厚みを活かしながらも、ボリュームが重くなりすぎないよう、絶妙なバランスに仕上げました。

オーダー後のバイカラートルマリン リング
指に溶け込む、存在感のあるリング
完成したリングをお客様が指に通した瞬間、その表情がぱっと明るくなりました。
「不思議ですね。石は確かに存在感があるのに、指にすごく馴染んでいて、それがまた素敵です。」
その言葉を聞いた瞬間、私は心の中で「よかった」とほっとしました。
宝石の魅力を最大限に生かし、お客様の個性に寄り添うデザインができたと感じた瞬間でした。
私たちにご依頼いただいたこと、センスを信頼しお任せいただいたこと、そして完成したジュエリーが想像を超える笑顔につながったこと。本当に嬉しいことです。
「気に入っているけれど、ここが気になる」
そんなジュエリーのお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
心地よいカタチを、一緒に見つけましょう。
次回のブログもお楽しみに。
バイカラートルマリンリングのリフォーム
アイテム:リング
素材:K18YG
宝石:バイカラートルマリン6.34ct、ダイヤモンド0.04ct
制作期間:約2ヶ月
費用:税込187,000円
デザイン:大森香菜江