丸いものは、直線で際立つ。
赤珊瑚の丸玉を、一本の直線に沿って並べていく。ただそれだけのことなのに、和の印象が強かった珊瑚が、すっきりとモダンな顔になる。そのギャップが、生きたデザイン。
今回は、以前ご紹介した赤珊瑚リフォームの続編です。前回はお母様のためのネックレスと翡翠のリング。今回は、お客様ご自身のためのジュエリー。
「珊瑚は自分には、なんだか…」
そうおっしゃっていたお客様が、数ヶ月かけて、ついにたどり着いた"かたち"がありました。

ポイントは、直線です。
丸い珊瑚の玉を、大胆に伸ばした一直線に沿って並べていく。珊瑚が丸いからこそ、ゴールドのラインはあえて角張ったシェイプに。この丸と直線のコントラストが、デザイン全体のバランスになっています。
珊瑚の玉の並び順も、お客様と一緒にこだわって決めました。大きさにばらつきがあるからこそ、どの石をどこに置くか。そういう細かい積み重ねが、「自分だけのジュエリー」になっていく。
前回のリフォームで残ったラウンドとバゲットのダイヤモンドも、ピンクゴールドのラインの一部に散りばめました。珊瑚の赤、ダイヤの煌めき、ピンクゴールドの艶。それぞれの個性が共鳴しながら、ひとつの作品になっている。


小柄なお客様に合わせて、ボリュームはあるけれど重く見えないように。かわいらしさよりも、かっこよさを。着用したとき、洋服に映る珊瑚の丸みのある影までもがジュエリーの一部になるように——そんなことを考えながら仕上げました。
ブローチの制作中に、お客様からご連絡が届きました。
「珊瑚、まだ余っていますよね。ピアスも作りたいんですが。」
もちろんです、と即答しました。
実は、ブローチ用の珊瑚とは別に、余分にお預かりしていた珊瑚がありました。ただ、その珊瑚はネックレスとして使われていたため、中央に貫通穴が空いた状態。その穴をどう処理するか——ブローチに使った珊瑚の天地にも、ピアスの穴にも、ダイヤモンドを埋めることにしました。
ハードストーンの珊瑚に、きらめくダイヤモンドがひと粒。よく見るとあちこちにダイヤモンドが潜んでいる。地味になりがちな珊瑚が、ぱっと瑞々しさを取り戻したようで、お客様もとても喜んでくださいました。

ご納品の際、実際に着用していただきました。とてもお似合いで。以前リフォームをお任せいただいたダイヤモンドネックレスと合わせてくださって、ばっちりでした。


「ずっと自分には珊瑚は似合わないと思っていたけれど、作ってよかった。」
その言葉を聞いた瞬間、このお仕事をしていてよかったと思いました。石の見え方は、デザインで変わる。その可能性を、これからも伝え続けていきたいと思っています。

珊瑚ブローチ&ピアスのリフォーム
アイテム:ブローチ&ピアス
素材:K18ピンクゴールド
宝石:珊瑚、ダイヤモンド
制作:デザインが決定してから約3ヶ月
デザイン:大森香菜江
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