「全部の石は使わなくていいんです。シンプルに、片耳に2粒だけで。」
そのことばが、すべてを教えてくれました。
引き出しの奥に、ずっと眠っているジュエリーはありませんか。
別に困っているわけじゃない。でも、なんとなく気になっている。そんな感じで、何年も。
今回お持ちいただいたのは、サファイアがたっぷりあしらわれた華やかなリング。素敵なジュエリーだけど、今の自分には少し大げさで——ずっとしまったまま、という一本でした。
「これをピアスにしたいんです」

石はいくつもある。全部使いますか、とお聞きすると、
「いえ、シンプルがいいんです。片耳に2粒ずつの、揺れるピアスにしたくて」
その答えが、とても好きでした。
華やかすぎると、また使わなくなるのがわかっている。だから、あえてミニマムに。せっかく作り変えるなら、ちゃんと日常に連れ出せるものを。
ジュエリーと、ちゃんと向き合って導き出した答えでした。
デザインを一緒に詰めていくなかで、揺れる長さを決めるとき、実際にお顔の前に当てながら確認しました。
耳たぶの下から、自然に動く長さ。長すぎず、短すぎず。この方だけの寸法です。
オーバルとオーバル、2粒をそのままつなぐのではなく、上をオーバル、下をしずく型に近い表情で縦に配置し、繊細なチェーンで繋ぐことに。素材はプラチナ。艶めきのなかに落ち着きがある。深い青のサファイアを、静かに、でも確かに引き立てる選択でした。

完成したピアスをジュエリーボックスに並べたとき、こう感じました。
リングだったころの華やかさは残しながら、まとった空気が変わった。主役を張る存在感から、日常に寄り添う静かな美しさへ。
同じ石が、こんなふうに変わる。それがリフォームの、いちばんおもしろいところだと思っています。

実はこのお客様、同じタイミングでもう一つリフォームをご依頼くださっていました。
赤い石のリングと、眠ったままのルースたちを、バングルに。
そのストーリーは、次回のブログでご紹介します。
サファイアピアスのリフォーム
アイテム:ピアス
素材:Pt
宝石:サファイア
制作期間:約2ヶ月
デザイン:大森香菜江
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