こんにちは。
デザイナーの大森です。
お気に入りのリングとイヤリングに合わせる、特別なブローチを
「これまで少しずつ集めてきたアメシストがあるの。そこに、昔のジュエリーから外したアメシストも加えて、私だけの特別なブローチを作れないかしら。」
そんな素敵なご相談をいただきました。
しかも、「すでに持っているアメシストのリングとイヤリングにぴったり合う華やかなブローチにできたら。」というご希望も。
リングとイヤリングは、お母様から譲り受けた大切なもの。
それに合わせたセットができたら…というお気持ちが伝わってきました。
実はこちらのお客様、海外・国内問わず、華やかなパーティーや社交の場にたくさんお出かけになる方。ドレスもジュエリーも、ほとんどがオーダーメイドで揃える『特別感』にこだわるお客様です。
「人と同じものは絶対にイヤ!」
そんな強い想いが込められた今回のご依頼。
私もワクワクしながら、デザインを考えさせていただきました。


主役は六角形アメシスト リング・イヤリングとつながるデザイン
まず目を引いたのは、縦長の六角形アメシスト。
カットも珍しく、リングとイヤリングでは、通常は裏にくるパビリオン(尖っている方)をあえて表に見せる特別なセッティングがされています。
この遊び心、私も大好きです。
ブローチでも、このパビリオン見せを取り入れ、統一感を持たせることにしました。
さらに、お手持ちのアメシストは、オーバル、エメラルド、スクエア、バゲットなど、形もカットもさまざま。
それぞれが主役級の存在感を放つ個性派揃いです。
異なるカットやサイズのアメシストたちが、それぞれの個性を引き立て合いながら、ひとつのブローチとして調和する。
まるでパズルを組み立てるような感覚で、デザインを考えていきました。
動きと立体感を生む、空間と高低差へのこだわり
今回のブローチのポイントは、あえて宝石と宝石の間に空間をしっかり取ること。
ぎゅっと詰めるのではなく、余白を活かして華やかさとボリューム感を出すデザインです。
とはいえ、単に広げるだけでは間延びしてしまいます。
そこで大切にしたのが高さや角度を変えることで生まれる「動き」。
高低差をつけながら、宝石がそれぞれ違う方向へ輝きを放つように計算しました。
地金には、手彫りのギザギザ模様を施したイエローとホワイトゴールドを使用。
クラシカルな雰囲気もプラスされています。
ダイヤモンドが加わり、メリハリのついた輝きに
デザインをまとめる中で、「リングやイヤリングに使われているバゲットカットダイヤモンドをぜひブローチにも加えたい」と思いました。
お客様にご提案すると、「ちょうど同じダイヤを持ってるわ。」と嬉しいお返事。
さらに、ラウンドカットのダイヤモンド3石も追加でお預かりしました。
アメシストの深い紫に、ダイヤモンドの無色透明な繊細な輝きが加わることで、全体の印象がぐっと引き締まりました。
お客様がお持ちの宝石に見事に新しい命が吹き込まれていきます。
完成したのは、ブローチ&ペンダントの2WAYジュエリー
こうして完成したのは、縦長のラインが美しく、アメシストとダイヤモンドが優雅に流れるようなブローチ。
さらに、お手持ちの太めのチェーンにもつけられるよう、折りたたみ式のバチカンを設置し、ペンダントトップとしても使える仕様に。
装いに合わせて、ブローチとペンダントを使い分けることができます。
シーンに合わせて表情を変える、特別な2WAYジュエリーが誕生しました。



憧れの『アメシストのデミパリュール』がついに完成
お渡しの日、お客様がブローチを胸に当て、鏡の前でふわっと微笑まれました。
「ずっと欲しかったアメシストのセットが、ついに揃ったわ。」
その言葉に、私も胸が熱くなりました。
お気に入りのリング・イヤリング・ブローチの3点セット、つまり『デミパリュール』が完成した瞬間です。
お客様のジュエリーボックスに、またひとつ世界にたったひとつの特別なジュエリーが加わり、そのお手伝いができたことを心から嬉しく思います。

お客様の想いに寄り添いながら、これからも、特別なジュエリー作りのお手伝いをさせていただけることを楽しみにしています。
リフォームやオーダーメイドのご相談、どんなことでもお気軽にお声がけくださいね。
それでは、次回のブログでお会いしましょう。
アメシストペンダント兼ブローチのオーダーメイド
ペンダント兼ブローチ
メタル:K18YG/WG
宝石:アメシスト67.42ct、ダイヤモンド0.57ct
制作期間:約5ヶ月
デザイン:大森香菜江